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The Hilliard Ensemble ヒリヤード・アンサンブル と"On No Words"+α

私がとても愛していたり多大な影響を受けた人や芸術について記す「私のお気に入り」を始めます。

 

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私のお気に入り「其の一」

The Hilliard Ensemble ヒリヤード・アンサンブル

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ヒリヤード・アンサンブルは、1974年から2014年まで活動していたイギリスの声楽(古楽)グループです。

1998年発表のLassusの"Missa Pro Defunctis 死者のためのミサ曲"は何度聴いたかわからないくらい、

20年以上にわたって今も愛聴しています。

2000年頃に来日したときに一度公演を観たのですが、

あまりの心地よさに途中から寝ていた記憶があります。

 

 

その頃の私は1-2次元からようやく這い上がってきたような状況でしたが、

彼らが発する天上界(7〜8次元)から聴こえてくるような音楽は私の深いところに常にいて

優しく導いてくれていたと思います。

 

彼らの音楽を初めて聴いたのは私が大学生の頃で、

所属していた研究室ではひたすら遺伝子を切り貼りし、

デスメタル・グラインドコア/ハードコアのバンドを複数掛け持ちしながらひたすら叫び続け、

合間を縫って深夜の牛丼屋でアルバイトして稼いだお金は

CD・レコードと音楽機材とスタジオでの練習代に消え、

とにかく新しい音楽を無我夢中で吸収していた頃でした。

音楽がなかったらとっくに死んでいたと自信を持って言えるくらい、なんの希望もなく儚い人生を送っていたと思います。

 

その頃の私は、まさか自分が十数年後に彼らのように裏声で歌い、さらに音楽家として生計を立てるようになるとは

全く思ってもおりませんでした。

 

当時は「古楽 Early Music」という概念すらも認識していなかったので

(まだインターネットもそこまで普及していなかったし、周りにそのような音楽を聴く友人・知人は全くおりませんでした)

ジャケットやレーベルや雰囲気で当てずっぽうに探して聴いていると、どうやら私の好みの音楽は500年前くらいのヨーロッパのものなのだな、、という感じがしていました。

 

そこからさらに1000年前とか、300年前とか、50年前とか、

区切りというか違いの認識がだんだんと明確になり、

純正律や周波数・基音についても研究し始め、

後になってからは自身の音楽にも採用し始めたのですが

それはまた別の機会に。

 

 

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"On No Words"

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私のグループ「FU えふゆー (UBI&FU)」で

プロデューサーのMalcolm Burn マルコム・バーン氏 

(Bob Dylan ボブ・ディランやIggy Pop イギー・ポップなど名だたる音楽家たちと制作をし、グラミー賞まで受賞されている凄い方です) 

とともに2009年に録音した

"On No Words"という曲があり、
初めて公に発表した「裏声で歌っている」曲なのですが、

もともと発表するつもりは全くなくて、

「夢で出てきたけど裏声で歌うのは恥ずかしいから」と誰にも聞かせていませんでした。

 

ところが、マルコムさん

(英語ですがお互いを「さん」付けで呼ぶようになっておりました)が

「レコーディング予定の曲はもう全て終わって順調に進んでいるから、他にも曲があるならやってみよう」
と言うので、メンバーにコードとフレーズを教えてすぐにレコーディングを開始しました。

 

アルバムに収録するかもわからない予定外の曲なので、

リラックスした雰囲気のマルコムさんは録音ボタンを押した後にビデオカメラ片手に私たちの本番演奏中に入ってきて撮影をし、

そのまま今度はボーカル録音に。


前半で歌詞のないメロディーを歌い、後半は楽器のみで盛り上がって終わるというアレンジのはずだったのですが、

いざボーカルの録音を始めたところ、私はエネルギーが盛り上がって止められず、後半も即興で叫ぶように歌い、

それをマルコムさんが気に入り、もうワンテイク即興で歌いました。

出来上がったのがこちらの動画です。

 

そしてなんとこの曲が結局アルバムの1曲目になり、

その後アメリカのソングライティングコンテストで入賞し、

バンドの代表曲のようになり、

私の当時の芸名「ゆび きたす」のソロでもほぼ必ず演奏する曲となりました。

「音立日子」となってからはその影響もあり?

裏声の曲がほとんどを占める、という状況です。

(実際のところはエネルギー/次元的な関係が大いにあると思います。)

 


2013年にアメリカ・ニューヨークのVillage Undergroundという超一流のミュージシャンが集まる会場

(プリンスやマライアキャリー等も通っていたらしいです)で歌ったときは、

共演者もお客さんも初めてこの曲を聴いたのに、

終わったとたんに大合唱が起きて、そのときマルコムさんも客席で観ていたのですが

あまりの光景に衝撃を受けておりました。

その時の映像はこちら(撮影してくれたのは奥さんのサンドリンさん)。

 

 

この曲にまつわる話は他にもたくさんありまして、

(実はニューヨークの別の会場でも全く同じ現象が起きました)

絶体絶命の状況で歌うと天地がひっくり返るような感じで、

 

ドイツ・ベルリンでは歌っている最中にものすごい雷雨となり

「これはお前が起こしたのか?!」となって

四面楚歌の状況がガラリと変わり全員味方のようになったり、

 

アルゼンチン・ブエノスアイレスの野外フェスでも曇りなのになぜか虹が出現して、

それを観て驚いた観客の方が話しかけてきて

その後のフェスティバル開催のための会場を見つけてくれたり、、

 

私を救い続けている曲なのは間違いないです。

感謝!

 

 

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+α

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私はいまだにCDを買って聴いている甚だ時代遅れの人間で、

Wi-Fi環境もなくストリーミングも動画もほどんど観ないのですが

世の潮流が「そちら」であることにようやく最近気づきまして、

少しずつストリーミングや動画でも音楽を視聴するようになってきました。
(以前は音質に耐えられず、ちょっとチェックする程度でしたが、、)

 

昨年「世界音楽披露公演」をシルクロードカフェさんで配信させていただいたときに驚いたのは

東京近郊の方で配信での観覧を選択する方、公演後にアーカイブ配信をご購入して下さる方々が

少なからずいたことです。

 

 

というわけで、

今回ご紹介したヒリヤード・アンサンブルの

Lassusの"Missa Pro Defunctis”も

是非CDでお聴きいただきたのですが、

昨今の状況を踏まえ動画のリンクを貼っておこうと思います。

こちらです。

 

 

音立日子として発表している作品をストリーミング配信しない理由もあるのですが、

また別の機会に記そうと思います。

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4月2日追記

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 この「私のお気に入り My Havorite Thingsで紹介している音楽をYouTubeのプレイリストで作成してみました。

もちろんCDやオリジナル音源を聴いて頂けたほうが嬉しいですが、ご参考になればと思います。

ブログの下部に埋め込んでおります。


文章で触れている

Lassusの"Missa Pro Defunctis”が1-9曲目、

“On No Words”のマルコム・バーンさん撮影の動画が10曲目、ニューヨークでの演奏が11曲目です。

The Hilliard Ensemble Lassus
The Hilliard Ensemble Lassus
FU LOVE I LOVE “On No Words”収録
FU LOVE I LOVE “On No Words”収録